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11話 仲間

落ち着きを取り戻したロキがいつもと違う状況にやっと気づいた。

「ミア、ファーガス副隊長は一緒じゃないの?」


ロキの言葉で先ほどまでの賑やかな空気は重たい空気に変わった。

俯くミアとアサヒを不思議そうに見るロキ。

少しの沈黙の後、ミアが口を開いた。

「実はね…」


ファーガスがギールにやられたことからこれもでの一部始終を話すミア。

話を聞き、驚きと困惑の顔になるロキ。

ミアの話を真剣な顔で聞くアサヒ。

一通り話も終わり空気はさらに重たいものになった。


「とにかく早くジン隊長に知らせよう」

ロキの言葉にも先ほどとは違い緊張感があった。

「そうね」


向かう最中、ロキがアサヒに呟いた。

「さっきは悪かったなアサヒ」

「ロキ…」

突然のロキの謝罪に驚いた。


「ミアを守ってくれてありがとうアサヒ」

ロキの素直な言葉が嬉しかった。

「当たり前のことをしたまでさ」

これだけの会話ではあったが少し距離が縮まったのをお互いに感じた。



「ついたわ」

目的地は他の商店と違い大きな宿舎のような建物だった。

建物の入り口に立つ守衛が3人に気づく。

「お戻りになられましたかミアさん。ロキさんもご一緒で」


守衛の目には知らない男が映っていた。

「そちらの方は?」

当然アサヒのことを知らない守衛がミア達に尋ねる。


「こちらは…」

ミアが答えようとした横からロキが答えた。

「私たちの新しい仲間だ」

その言葉を発するロキの顔は前をしっかり見つめていた。

「ロキ…」

アサヒとミアは自然と微笑んだ。


守衛「そうでしたか。中へどうぞジン隊長がお待ちです」

中へ通される3人。


建物の中を見てまた驚くアサヒ。

兵士がたくさんいたり、武器のようなものがあったり、ここはなんなんだ。


キョロキョロ辺りを見渡しているといつの間にか1人遅れていた。


前を行くミアが遅れているアサヒに気づいた。

「アサヒこっちよ」

「あ、ああ」

ここがどんな場所なのか聞きたい気持ちを抑え、前の2人に追いついた。


程なくしてある部屋の前に着く。

「ここよ」

「早く知らせないと」

2人とは違い少しばかり緊張気味のアサヒ。

緊張するアサヒをよそにノックをするミア。

「ミアです。」


部屋の中から声が返ってくる。

「どうぞ。入りなさい」

返答を受けて部屋に入る3人。


部屋に入ると1人の男がそこにはいた。

「ジン隊長、ただいま戻りました。」

ミアの話し方もどこか今までと違った。

「おかえりミア、ロキも一緒だね」

ミアとロキに微笑むジン。


「至急隊長にお伝えしたいことが…」

ロキが話を始めようとしたところで、2人の後ろにいるアサヒに気づくジン。

「おや、そちらは?」

「こちらは…」

ミアが紹介しようとしたのを止め、一歩前にでるアサヒ。


「俺はアサヒ 17才!日本で生まれ神社で育った、剣道2段の高校生!です!」


アサヒの自己紹介に驚くこともなくアサヒを強い眼差しで見るジン。

「アサヒ君か」

「はい!」

力強い言葉で返事をした。


挨拶を終えるとミアがジンに少し不思議そうに尋ねた。

「あまり驚かれないんですね」

不思議そうなミアとは違い笑顔でジンは答える。

「ちゃんと自己紹介してくれたからね」


その光景を見ていたロキも不思議に思った。

そういう問題なのか?


挨拶も終わりジンが話を戻した。

「ロキ伝えたいこととは?」

「実は…」

ロキの言葉を制止し、ミアが答え始めた。

「説明は私から…」


ロキに話をした時のようにファーガスとギールとのことを話すミア。

真剣な顔で聞くジン。

それを見るアサヒ、ロキ。

重苦しい空気が4人を包んだ。




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