丘の上から大きな街を見ているミアと馬の上に乗せられたアサヒ。
ギールとの激闘から数時間後、2人はある街へ向かっていた。
アサヒはまだ眠ったまま、いつかと同じように馬の上にいた。
時折アサヒを確認するミア。
早く治療をしてもらえる場所に連れて行くからねアサヒ…
目的地の半分ほどまで進んだころ、颯爽と走る馬の揺れでようやく目を覚ました。
「…ん…ここは…」
アサヒの声が聞こえすぐさま振り向いた。
「アサヒ!目が覚めたのね!」
アサヒが目覚めた喜びで急ブレーキをかけるミア。
急ブレーキに馬の上から落ちそうになる。
「ちょ…うわああ!」
止まった馬の後ろでアサヒは転がった。
馬を降り急いで駆け寄った。
「大丈夫アサヒ!?」
ミアの言葉にいつかの光景を思い浮かべながら苦笑いをした。
「大丈夫じゃないかも」
アサヒが目を覚まし、半分ほど進んだこともあり一度馬を休息させる事にした。
「ここは一体どこ?…イテテ」
ギールに切られた肩が痛む。少し顔を歪ませながら肩を押さえた。
肩の傷に顔を歪ますアサヒを見て、ミアも心配な顔をした。
「まだ傷が開くんだから無理しないで!水の国を護り、入り口でもあるアクアゲートに向かう途中よ」
初めて聞く言葉だった。
「アクアゲート??」
「そう、アクアゲート!私たちの街よ。すごく綺麗な街なんだから!アサヒの傷もすぐに治してもらいましょ!」
ミアの演説みたいな言い方に少し驚いた。
「へ、へえ~」
ミアの話しっぷりに少し驚いたが、新しい一面を見た気がした。
なんだかミアとの距離が縮んだ気がする。
そう思ったら顔が少しニヤニヤしていた。
無意識でニヤついているその顔を見てミアはちょっと引いた。
「なにニヤついてるの…」
その言葉に自分の顔が緩んでる事に気がついた。
「いや、あの、その…」
焦るアサヒを見てミアは微笑んだ。
2人がいるその場所は優しい空気に包まれていた。
「さあ、行きましょ!」
「ああ」
再び馬に乗る2人。
手綱を握り馬を走らせる準備万端のミア。
「しっかりつかまっててねアサヒ」
「わかっ…」
返事を言い切る前に馬が走り出した。
「わあ…まだ…」
まだつかまっていないのに走り出したため、慌ててミアにつかまった。
颯爽と走りながらつかまるアサヒを感じていた。
アサヒは必死に私を守って傷ついたんだ…私が治してあげないと…
ミアはアサヒの傷に責任を感じていた。
丘を駆け抜けて水の都が見えてきた。
「アサヒ!アクアゲートが見えてきたよ!」
ミアの後ろから前を見つめるアサヒ。
「あれがアクアゲート…なんだかどこかで…」
初めて見るはずのアクアゲートに何かを感じ不思議そうに見つめた。
到着し馬を止めるミア。
「着いたよアサヒ!」
馬から降りる2人。
目の前にある大きな門を見上げた。
「ここがアクアゲート」
