top of page

9話 アクアゲート

丘の上から大きな街を見ているミアと馬の上に乗せられたアサヒ。


ギールとの激闘から数時間後、2人はある街へ向かっていた。

アサヒはまだ眠ったまま、いつかと同じように馬の上にいた。

時折アサヒを確認するミア。

早く治療をしてもらえる場所に連れて行くからねアサヒ…


目的地の半分ほどまで進んだころ、颯爽と走る馬の揺れでようやく目を覚ました。

「…ん…ここは…」


アサヒの声が聞こえすぐさま振り向いた。

「アサヒ!目が覚めたのね!」

アサヒが目覚めた喜びで急ブレーキをかけるミア。

急ブレーキに馬の上から落ちそうになる。

「ちょ…うわああ!」

止まった馬の後ろでアサヒは転がった。


馬を降り急いで駆け寄った。

「大丈夫アサヒ!?」

ミアの言葉にいつかの光景を思い浮かべながら苦笑いをした。

「大丈夫じゃないかも」


アサヒが目を覚まし、半分ほど進んだこともあり一度馬を休息させる事にした。


「ここは一体どこ?…イテテ」

ギールに切られた肩が痛む。少し顔を歪ませながら肩を押さえた。

肩の傷に顔を歪ますアサヒを見て、ミアも心配な顔をした。

「まだ傷が開くんだから無理しないで!水の国を護り、入り口でもあるアクアゲートに向かう途中よ」


初めて聞く言葉だった。

「アクアゲート??」

「そう、アクアゲート!私たちの街よ。すごく綺麗な街なんだから!アサヒの傷もすぐに治してもらいましょ!」


ミアの演説みたいな言い方に少し驚いた。

「へ、へえ~」

ミアの話しっぷりに少し驚いたが、新しい一面を見た気がした。


なんだかミアとの距離が縮んだ気がする。

そう思ったら顔が少しニヤニヤしていた。

無意識でニヤついているその顔を見てミアはちょっと引いた。

「なにニヤついてるの…」

その言葉に自分の顔が緩んでる事に気がついた。

「いや、あの、その…」

焦るアサヒを見てミアは微笑んだ。

2人がいるその場所は優しい空気に包まれていた。


「さあ、行きましょ!」

「ああ」


再び馬に乗る2人。

手綱を握り馬を走らせる準備万端のミア。

「しっかりつかまっててねアサヒ」

「わかっ…」

返事を言い切る前に馬が走り出した。

「わあ…まだ…」

まだつかまっていないのに走り出したため、慌ててミアにつかまった。


颯爽と走りながらつかまるアサヒを感じていた。

アサヒは必死に私を守って傷ついたんだ…私が治してあげないと…

ミアはアサヒの傷に責任を感じていた。


丘を駆け抜けて水の都が見えてきた。

「アサヒ!アクアゲートが見えてきたよ!」

ミアの後ろから前を見つめるアサヒ。

「あれがアクアゲート…なんだかどこかで…」

初めて見るはずのアクアゲートに何かを感じ不思議そうに見つめた。


到着し馬を止めるミア。

「着いたよアサヒ!」

馬から降りる2人。

目の前にある大きな門を見上げた。

「ここがアクアゲート」






title_logo2.png
Instagram_Glyph_White.png
logo-white.png

​©︎カルデナの夜明け

bottom of page